~安心と美味しさは、目と手のひと手間から始まる~
まずは結論から
お米とコーヒー豆には、品質を左右する「選別」という大切な工程があります。
家庭でもできる簡単なチェックを知っておくだけで、より安心で美味しい食卓を楽しめるようになりますよ。
お米の選別事情:昔ながらの知恵と最新技術
備蓄米など話題ですが、最近テレビで「スーパーで買ったブランド米が美味しくない」という声が話題になりました。
調べてみると、なんと新潟産のブランド米でも、約6割が割れたり小さかったりして、販売に適さないものが混じっていたそうです。
炊いても欠けた米が水分を吸いすぎてしまい、べちゃっと仕上がってしまう…。
これは、お米に期待していた消費者にとってはショックな事実ですよね。
なぜ、そんなことが起きるの?
TVで話題になった件は、米不足に乗じた一部の悪質な業者によるものかもしれません。
とはいえ、それを別にしても、お米の品質を保つうえで「選別」は不可欠な工程です。
家庭でできるお米のチェック方法
炊飯前、お米をとぐその前に、目で見てチェックしてみてください。
- 色の違う粒
- 割れている米
- 小石やぬか玉のような異物
昔のおばあちゃん世代は、ザルに広げてしっかり目で確認してから炊いていたそうです。
手間はかかりますが、確実においしさが変わってきます。
農家や精米所で行われるプロの選別
もちろん、すべてを家庭だけでカバーするのは難しいため、農家や精米所では機械による選別も行われています。
- 色彩選別機:赤外線や光を使って色の違う粒をはじく
- 比重選別機:軽い未成熟米やゴミを水に浮かせて取り除く
- ふるい分け機:粒の大きさをそろえて不揃いを除去
この「見て、測って、分ける」という一連の工程が、美味しいお米を支えているのです。
コーヒー豆の選別も、お米とそっくり!
実は、コーヒー豆も同じように「選別」が品質の鍵を握っています。
コーヒーには「欠点豆」と呼ばれる、味を損なう豆が混じっていることがあります。
家庭でできる「ハンドピック」というひと手間
粉に挽く前に、手でコーヒー豆を広げて選別する作業を「ハンドピック」と呼びます。
チェックすべき欠点豆の例:
- 黒ずんだ発酵豆
- 白っぽい未成熟豆
- カビのような表面の豆
- 割れている豆、虫食いの豆
- 枝や石などの異物
白いトレイや皿に豆を広げて、自然光の下でよく観察するだけでOK。
焙煎後であれば、焦げた豆や煎りムラのある豆も取り除いておくと、味がぐっと良くなります。

左が欠点豆。挽く前に気が付いたら取り除きましょう。

左が生豆の欠点豆たち。
コーヒー屋にもよりますが、お店でこの工程ハンドピックに手をかけているところや、高価になってしまいますがそもそも欠点豆の混入が少ない生豆を仕入れている、と様々です。
コーヒー業界でも活躍する選別機
大きな焙煎工場や品質にこだわるロースターでは、機械による選別も行われています。
- 比重選別機(グラビティセパレーター):軽い欠点豆を水で分離
- 風選(エアブロワー):薄皮や軽い異物を風で除去
- 色彩選別機:光学センサーで色の違う豆を除去
こうして、味にムラが出ないようにしっかり選別されています。
なぜ、選別が大切なの?
欠点豆や異物が混ざっていると、以下のような味の劣化が起こります:
- 雑味
- えぐみ
- 不自然な酸味
特に、香りや風味の繊細さが命のスペシャルティコーヒーでは、小さな欠点が大きく味を左右します。
選別をしっかり行うことで、クリーンで透明感のある味わいに近づけるのです。
まとめ:美味しさの鍵は、目と手のひと手間にあり
お米もコーヒー豆も、選別によって「本来の美味しさ」がより純粋に引き出されます。
もちろん、選別は味そのものを変える魔法ではありません。でも、余計なものを取り除くことで、本来の味わいが引き立つのです。
- お米は炊く前に軽くチェック
- コーヒー豆はミルにかける前にサッと観察
そしてもう一つ大切なのは、「まっとうな商売をしているお店やブランドを選ぶこと」。
私たち消費者が品質を見極める目を持つことは、業界全体の健全さにもつながります。
ぜひ、今日から「目と手のひと手間」を取り入れて、毎日の食事とコーヒーをもっと楽しんでくださいね。