コーヒーを淹れるとき、「なんか毎回味が違う」「濃すぎたり薄すぎたりして安定しない」そんな経験ありませんか?
実はその原因のひとつが、【レシオ(比率)】にあるかもしれません。この記事では、初心者の方でもすぐに活用できるように、コーヒーのレシオについて書いていきます。

そもそも「レシオ」ってなに?
「レシオ(ratio)」とは、コーヒー粉とお湯の比率のことです。これを意識するだけで、毎回安定しておいしいコーヒーを淹れることができます。
たとえば、よく使われるレシオのひとつは 1:15。これは「コーヒー粉1gに対して、お湯15g(=15ml)使う」という意味です。
お湯は注ぐお湯の量のことで、出来上がったコーヒーの液量ではありません。なので注いだお湯はすべて落とし切ります。自分は落とし切らない淹れ方をやってきたので、このコーヒーブリューレシオの考えでの淹れ方は新鮮でした。この淹れ方に出会ったのは、いわゆる浅煎りスペシャルティーコーヒーのしっかりした(場合によってはきつい)酸味をどうやっておいしく飲もうかと模索していた時でした。今までの淹れ方だとどうしても飲みにくかったのですが、ある有名店ウェブサイトに載っていた1:16のレシオで入れたらおいしく飲めたのです。それ以降は、浅煎りと中煎りや深煎りのコーヒーで淹れ方を変えるようになりました。自分と同じように浅煎りをおいしく飲みたいという方に特に試してもらいたい考え方です。
■ 初心者にやさしい!レシオ早見表
「1:15」のレシオを基準にした、お湯の量と出来上がりの液量をまとめた表です。
お好みで試してみてください。
コーヒー粉(g) | レシオ | 注ぐお湯の量(ml) | 出来上がりの液量(ml・目安) | 味の傾向 |
---|---|---|---|---|
10g | 1:14 | 140ml | 約110ml | 濃いめ・コク強め |
10g | 1:15 | 150ml | 約120ml | 標準・バランス型 |
10g | 1:16 | 160ml | 約130ml | 軽め・スッキリ感 |
15g | 1:14 | 210ml | 約170ml | 濃いめ・しっかりした味 |
15g | 1:15 | 225ml | 約180ml | 標準・扱いやすい味 |
15g | 1:16 | 240ml | 約190ml | 軽やか・酸味が活きる |
20g | 1:14 | 280ml | 約230ml | 濃厚・ミルクとも相性◎ |
20g | 1:15 | 300ml | 約240ml | 標準・家庭用に最適 |
20g | 1:16 | 320ml | 約255ml | すっきり・飲みやすい |
☕ 注湯量=上から注ぐお湯の総量
☕ 抽出液量=カップに落ちた出来上がりのコーヒー量
出来上がりの液量は、お湯の注湯量から粉が吸収する水分(おおよそ粉の2倍)を差し引いた目安量です。味の濃さはレシオ(右側の数字)が小さいほど濃く、大きいほど軽くなります。
■ レシオの概念はいつごろから広まったの?
コーヒーのレシオという概念が一般に広まり始めたのは、2000年代のサードウェーブコーヒー以降です。
従来の家庭用コーヒーは感覚に頼って淹れることが多かったのですが、ブルーボトルコーヒーやスタンプタウンといったスペシャルティ系カフェが、数値で味をコントロールする文化を広めました。
特に、世界バリスタチャンピオンシップ(WBC)などの競技会で、正確なレシオが品質の指標として使われたことが大きな転機となりました。
■ レシオを意識すると、何がいいの?
- 味が毎回安定する
- 自分好みの濃さに調整しやすい
- カフェの方がレシオを教えてくれれば、味を自宅で再現できる
レシオは、味を「感覚」ではなく「数値」で再現するための、コーヒーの“レシピ”とも言えます。
■ 必要な道具は?初心者でも揃えやすい
レシオを正確に管理するには、以下の道具があると便利です。コーヒーブリューレシオを特に気にしない淹れ方でも持っていれば役立つ道具達です。
● デジタルスケール(はかり)
→ 粉とお湯の量を1g単位で計量できるものを。
● ドリッパー&フィルター
→ ハンドドリップでの抽出に使います。
● 細口ケトル
→ 安定した注湯ができる。湯量をコントロールしやすい。
● タイマー
→ 抽出時間の管理に便利(スマホでもOK)。
■ 注いだお湯の量と、出来上がりのコーヒーの量が違う
たとえば、お湯150ml注いだのに、コーヒーは120mlしかできない…
コーヒー粉は抽出時に水を吸います。
粉1gあたり、約2gの水を吸収するのが目安です。
例えば:粉15g × 2g = 約30g(ml)の水が吸収される
なのでお湯を150ml注いだら → 出来上がり液量は 約120ml前後になるのです。
■「注湯量」と「出来上がり液量」はどちらを基準にすればいいの?
結論から言うと、コーヒーブリューレシオにおいて基準とするのは「注湯量」です。
✔️ レシオで言う「お湯」は、“注ぐお湯の量”
- 1:15 → 粉15gなら、お湯は225g(ml)注ぐ
- 出来上がりの液量は自然にそれより少なくなる
「最終的に何mlのコーヒーができるか」を気にするより、注湯量と粉量の比率を守ることが、味の安定につながるという考え方です。
■ 抽出後のコーヒー液量と粉の量で考える場合
自分はコーヒー粉に対して出来上がりのコーヒー液量の割合で考えることが多いです。
例えば中煎りならコーヒー粉10gで出来上がり130ml、深煎りなら110ml、極深煎りなら100mlです。焙煎度によって変えています。
例えば中煎りで計算するときは10g÷130ml=0.077この数字を覚えておいて、中煎り豆15gで淹れるときは15g÷0.077=194ml作れるなぁとか、中煎りで300ml作るときは、300ml×0.077=23gの粉を使おうといった具合です。深煎りなら0.09、極深煎りなら0.1です。
■ コーヒーブリューレシオのまとめ:最初は「1:15」でOK!
レシオを取り入れるだけで、コーヒーの味はぐっと安定し、より「狙った味」に近づけることができます。
- ☕ 最初は 粉15g×お湯225ml(1:15)
- ☕ 出来上がりは 約180ml
- ☕ 味が濃い/薄いと感じたら、比率を微調整するだけ!
味を数値で管理することで、「なんとなく淹れる」から「狙って淹れる」コーヒーへ。
今日から、あなたの一杯がもっと美味しくなるかもしれませんね!